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遺産分割調停申立ての苦労(添付書類集め)



 相続が発生し、遺産の分配方法を決めたいという場合、まず、相続人の間で話し合いをします。
 話し合いをしたけれども分配方法が決まらない/そもそも話し合いさえもできないという場合は、裁判所に遺産分割調停の申立てを行います。

 私は、代理人としてはもちろん、当事者として遺産分割調停の申立てをしたことがあります。この時の書類集めの苦労話を少し。

 家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをする場合、申立書などの書類以外に、申立書に添付するべき書類があります。
・被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本/戸籍事項証明書(除籍・改製原戸籍を含む)
・被相続人の最終住所地を明らかにする住民票除票又は戸籍の附票
・相続人全員の戸籍謄本/戸籍事項証明書
・相続人全員の住民票又は戸籍の附票
は必須です。
 これ以外にも、相続人が被相続人の兄弟姉妹であったり、数次相続が生じていたりすると、その都度必要な書類が増えます。

 また、遺産を明らかにするための資料として、不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)や固定資産評価証明書、預貯金・有価証券等の残高証明書、車検証などもあった方がよいです。

 私がいらっと来たのは、弁護士ではなく当事者として、相手方となる相続人の戸籍謄本と住民票(戸籍の附票)を取る時でした。

 親族とはいえ委任状があるわけでもなし、何の準備も、何の理論武装もせずに役所に行っても、「出せない」と言われるであろうことは想像できました。
 そこは弁護士なので、私は、被相続人の出生から死亡までの戸籍類と被相続人から自分につながるまでの戸籍謄本等をすべてそろえ、説明のために、相続人関係図も作成して持参しました。
 また、根拠条文を十分確認したうえ、市役所の戸籍謄本等の申請書に、遺産分割調停申立てを家裁に行う際に、添付書類として他の相続人の戸籍謄本や住民票が必要である旨を記載し、申請しました。
 このように、自己の権利行使のために正当な申請を行う法的根拠は、戸籍謄本/戸籍事項証明書ならば戸籍法10条の3第1項に、住民票ならば住民基本台帳法12条の3第1項にあります。
 役所の担当者が慣れている方なら、それだけで、何を根拠にこのような申請をしているのかを理解してくれ、準備した戸籍類や本人確認等必要な確認を行ったうえで、戸籍謄本等を出してくれるはずです。
 しかしながら、このように適法な形で申請をしていても、役所の運用(?)によっては、それらの必要書類を取ることができない場合があります。私の実体験では、住民票を出すことはできないが、戸籍の附票なら出せると言われました。戸籍の附票であれば相続人の住所地を確認することができるので問題ないと思いますが、適法な申請で本人確認もしているにもかかわらず、その対応に非常に不満が残りました。それだけ、悪用する人がいるのかもしれません。

 弁護士の職権であれば、さほど問題なく収集することができる書類も、当事者の立場ですとこのとおり非常に苦労します。相続人が多数にのぼればなおさらです。

                                  大澤



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